2021年3月25日の記事「プレートソルビングの覚書」の手順でプレートソルビングを実施した場合に発生したトラブルと解決方法をまとめてみました。sharpcap•synscan pro •all sky plate solverを利用した場合の手順となります。
1 plate solve failed-only ◯◯stars found! ...というメッセージが表示される
sharpcapに映っている星の数が少なくでall sky plate solver等のプレートソルバーが、望遠鏡が向いている方向を解析できなかった時のエラーメッセージになります。解決策としては、
①露光時間やゲインを調整して、星がより多く映るようにする。
Display Histogram Stretch画面の赤・緑・青の線の山が概ね上の例くらいの位置になるように調整するとよいと思います。
グラフの横の雷のマーク⚡️を押せば大体合わせてくれます。
SQM18程度の我が家の場合は、午後10時以降だと
QBPを装着した状態で露光時間4秒 gain500
QBPなしですと露光時間2秒 gain500
でこの状態になります。もちろん観測地、カメラによって異なりますので、各自ベストを探して、パターン化しておく必要があります。
gainに関しては、電視観望をするときには300に戻しています。
② Display Histogram Stretchで画面の明るさを調整する。
Display Histogram Stretch画面の雷のマーク⚡️を押した後、縦の3本黄色の点線の位置を移動してさらに調整します。
一番左の点線は山の左側 真ん中の点線は山の右側 右側の点線はその少し右側
くらいが適当かと思います。
なお、一番右の点線を右に移動すると背景の黒が締まってきれいに見えますが、プレートソルビングに必要な微恒星の光が黒く潰れてしますので、少し背景が明るいなあと思うくらいがちょうど良いと思います。プレートソルビングが終わったら見栄え良く調整すればOKです。
③all sky plate solverの設定を確認する。
これでもうまくいかない場合は、all sky plate solverの望遠鏡の焦点距離やカメラのセンサーサイズ、観測地の設定を確認してください。synscanの観測地も確認しておきましょう。
成功すると、、、
画面上部のメッセージが緑色になり、、、。
synscanアプリを介してaz-gtiが動作します。
以降は、この手順を繰り返せば、問題ないと思います。
2 プレートソルビングは成功するが、Please cofirm Sync...というメッセージが出て、[はい]を押してもaz-gtiが動作しない。
本来、プレートソルビングが成功すると自動でaz-gtiが位置修正を始めるはずなのですが、上のようなダイアログボックスが出て、[はい] を押しても動作せず、プレートソルビングを、 繰り返しても同じメッセージが出続けるというケースが複数発生しました。([はい]を押すと、再導入が始まるケースやもう一度プレートソルビングを実行すると再導入できてしまうケースもあり、なんとも不思議です。)
完全に原因を特定できたわけではないのですが、私の環境ですとiPhoneのsynscanアプリでaz-gtiを動作させた後、Windowsのsynscanアプリでプレートソルビングを実行するとこのメッセージが出るような気がします。
こうなるとaz-gtiの電源を一度落とし、アライメントからやり直すしかないようです。
ということで、Windowsでプレートソルビングをする際は、終始一貫してWindowsのsynscanでaz-gtiを操作した方が良さそうです。
2-1 プレートソルビングは成功するが、Please cofirm Sync...というメッセージが出て、[はい]を押してもaz-gtiが動作しない。
2で挙げた原因の他に導入しようとしている天体の位置と望遠鏡の向きが大きくずれてる場合も同じメッセージが出るようです。その場合は、一度、明るい恒星で手動でアライメントするなどして、望遠鏡の向きを調整するとプレートソルブ後に天体を自動導入してくれるようになります。
3 Some of your ASCOM Hardware is not responding というメッセージが表示される。
カメラが接続されている状態であれば、多くの場合Synscan proが起動されていないか、起動していてもSynscan pro が、az-gti本体と接続できていない状態になっている可能性が高いです。
単純にSynscan pro が起動していない場合やSynscan proが起動していてもaz-gtiに接続していない場合は、起動なり接続すればよいのですが、Synscan pro がaz-gtiと接続してるはずなのにこのメッセージが出てしまう場合は、パソコンとaz-gtiの間のwifi接続が不安定になっている場合が考えられます。
こうなってしまうとWIfiが不安定な理由を手探りで突き止めなければいけないので大変です。アクセスポイントモードからステーションモードにしてみるなど、パソコンとaz-gtiの距離を近づけるなど色々試すしかありません。
私は、遠征先でこの状態なってしまい解決できなかったので、現在、有線接続ケーブルを発注中です。
4 いろいろやってみてもダメな場合は、プレートソルビングに利用するソフトを変えてみる
all sky plate solverを利用したプレートソルビングについて記載してきましたが、他にもASTAP
plate solve2などソフトはたくさんあります。
私は、all skyplate solverで失敗するときは、ASTAPも利用しています。
ASTAPのソフトとデータベースファイル(h18など)をインストールした後にsharpcapの設定→platesolveからASTAPを指定するだけです。all skyplate solverと併存できますので、切り替えはその都度設定をいじるだけで簡単です。
私の環境だと換算焦点距離1000mmから2500mmだとall sky plate solver で、500mm程度だとASTAPを利用すると調子がいいです。
5 最後に
月齢や光害の影響でどんなに一生懸命調整してもプレートソルビングが失敗する場合もあります。その場合は、光害カットフィルータを利用するなどしてできるだけ星が多く映るように努力しましょう。(満月の日などは私は諦めてプレートソルブなしで気軽に導入できる惑星や二重星を観望して楽しんでいます。)
本当は、プレートソルビングなんて使わず人力で導入できれば一番かっこいいのですが、街中はそもそも星が見えませんし、個人的に首の持病であんまり長時間上を向きたくなかったりします。
以上、また、気づいたことがあれば、追加していきたいと思います。